TOEFL iBTに関する塾や教材は巷に溢れていますが、イケてなさそうな塾や、イケてなさそうな教材がすごく多いという印象です。一方で、素晴らしい学校(塾や予備校など)や、有用な教材は確かに存在します。私が実際に79点から4ヶ月間かけて103点まで上げた勉強方法や、同じく100点超えを達成した友人の勉強方法の中で良さそうなものを、まとめておきます。

正確な文法理解の習得方法

全セクションに共通して必須なのが、正確な文法理解です。私は幸運にも大変素晴らしい先生に出会えたので、最短ルートと言い切っても良いくらいに効率良く正確な英文法を習得できました。ちなみに私はTOEFL iBTの対策を始める前の時点で、帰国生ではありませんがノー勉一発勝負で旧TOEIC 900点を超えていたので、周りからは(平均的な日本人と比較して)英語ができると言われていました。しかし自分は英語の運用に全く自信がなく、英語に強いコンプレックスがありました。自分としてはかつて覚えた表現をなんとなく使っているだけで、自分の英語が合っているのか間違っているのか全然わからないし、知っている単語や熟語表現を頭の中から引っ張り出してきて使っているだけなので話も大して膨らまないのです。正確な文法理解を習得してからは、英語運用(R・L・S・W全て)に自信が持てるようになりました。

もしも「極めて良質」かつ「自分に合いそうな」先生を見つけられたなら、そしてリソース(資金)を捻出できるなら、そのような方に教えを請うことが最短ルートだと思います。但し、イメージですが、本当に素晴らしい先生は多く見積もっても100分の1に満たないと思いますので、これはもう英語云々というより情報戦だと思います。ネットを駆使して実績や口コミを確認したり、説明を聞きに行ってみたり、とにかく考えて動くしかないと思います。

そして、独学で取り組む方もいらっしゃると思いますので、独学におすすめな本をリストアップします。

● ロイヤル英文法:信頼に足る辞書。但し、文法書は辞書なので片っ端から覚えようとするのはかなり非効率です。TOEFL iBTの練習問題を解きながら、英文記事等を読みながら、あるいは英語ニュースを聞きながら、「構造が分からない英文」が出てきたら片っ端からロイヤル英文法を引いてその構造を紐解きましょう。スピーキングやライティングの練習の際には、目次や、付属の例文集(極めて有用)をみて、様々な文法表現を使ってみましょう。大事なことは、文法を有耶無耶にしないこと、文法から逃げないことです。

● 一億人の英文法:もし前置詞に苦手意識を持っている方がいらっしゃれば、本屋さんに行って前置詞のページを読んでみてください。前置詞のイメージが図示してあってわかりやすいです。

語彙力の増強方法

語彙に関しては、習得の際に2つに分けて考えると良いでしょう。インプット用の語彙と、アウトプット用の語彙です。インプット用の語彙は、リーディング・リスニングで出てきた時に瞬時(遅くとも1秒以内)に意味がわかればOKです。アウトプット用の語彙は、意味がわかるだけでは全く不十分で、その語彙を使ってスピーキング・ライティングで自在に文章を作成できる必要があります。まず単語帳よりも前に何より、各セクションの練習問題に登場した語彙や、解答に使用した語彙については、その場で覚えて使えるようにしていきましょう。その上で、100点超えを狙う際におすすめの教材と勉強法は下記です:

● TOEFL 3800(単語帳):言わずと知れたTOEFL3800の最大の利点は、収録された単語がTOEFL iBTで「実際に出題される」ということです。一方で、TOEFL3800の欠点としては、用法や例文が充実していないこと、及び、(これはどの単語帳でも一緒ですが)何度もやっていると収録単語の単語帳内での順番や位置を覚えてしまうことです。これらの欠点は各セクションの問題演習を通して補う必要があります。本単語帳は、3800の単語が難易度別にランク1〜4に分けて収録されています。ランク1・ランク2は全単語必修です。ランク3も9割以上必修ですが、大半はインプット専用でOKです。ランク4は、ランク3までと比べて時間対効果は落ちますが、時間に余裕のある方や、リーディング・リスニングで安定的にスコアを稼がないといけない方は、ぜひやるべきです。このランク4はほとんど全ての語彙がインプット専用でOKです。

● mikan (アプリ版単語フラッシュカード):上記のTOEFL3800のアプリ版です。単語を一定のルール設定の中でランダムに出題できたり、間違えた問題を繰り返し登場させられたりと、勉強効率を上げてくれる便利な機能が満載で、私は愛用していました(完全に余談ですが、歩きスマホは絶対にやめましょう。あまりにも危険です)。但しスマホなので、眼が疲れてしまう方もいらっしゃるでしょうし、勉強に集中できない方もいらっしゃると思います。このあたりは個人差が相当あると思いますので、アプリが向いていない方や、紙の方が集中できる方は、普通に上記のTOEFL3800単語帳を本屋さんで購入すると良いと思います。

● ドラゴンイングリッシュ(例文集):日本人のクセだったりツボだったりを押さえた素晴らしい例文集です。各例文の解説を読んでしっかり理解した上で、例文を100個覚えていけば、スピーキングやライティングで重要になる英作文の力が上がること間違いなしです。

リーディング勉強方法

練習問題を手間暇かけて解きます。自信がない問題には答えだけでなく横に「?」記号などを書いておき、自信がなかったことをわかるようにしておきます(練習でのまぐれ当たりは意味がないので)。問題を解き終わったら、答え合わせの前に、「意味がわからなかった単語を辞書で確認」「意味が取れなかった英文の構造を文法書で確認」します。そしてこの辞書と文法書での確認を踏まえて答えを変える場合は、オリジナルの答えは消さずに、新しい答えを青字で横に書きましょう。そして答え合わせをして、それでも間違っていた箇所は横に赤字で答えを書きましょう。黒字=自信を持って解答したオリジナルがあっていればその問題はもう気にしなくて大丈夫です。「?」は最初どうして「?」だったのか検証し、青字は語彙力や文法力の不足を反省し、赤字はどうして間違えたのか徹底的に追求して、いずれも次回同じような間違いをしないようにしましょう。最もまずい問題の解き方は、一度だけ解いて、すぐ答え合わせをして、次の問題に行くことです。間違えた原因を特定して、正解がどうして正解なのかという理由が腑に落ちて、それで初めてリーディング力が上がります

練習問題はまずは青いオフィシャルガイドで十分だと思いますが、何周かして答えを覚えてしまったりしたら、次は赤いオフィシャルガイド、バロンズ、デルタ、TPO、あたりのいずれかに取り組むのが吉だと思います。

● ETS The Official Guide to the TOEFL Test (青い本)

● ETS Official TOEFL iBT Tests(赤い本)

● BALLONS

● DELTA

● TOEFL Practice Online (TPO)

リスニング勉強方法

練習問題を手間暇かけて解きます。答え合わせ前に(スクリプトはまだ見ずに)「辞書」「文法書」でわからない単語や意味の取れない構文を調べ、上記リーディングのところに書いたのと同じように、黒字、「?」、青字赤字、の4パターン別に対策しましょう。リスニングで正しく聞き取れなかった場合の原因は3点に集約されます:「文法力」「語彙力」「音(スピードやリエゾンを含む)」。ちなみにリエゾンとは文の中で、前の単語の最後の音と、後の単語の最初の音が、繋がって発音される現象です。リスニング問題を間違えた時には、「文法力」「語彙力」「音」のどれが原因だったのか、はっきりさせることが極めて大事です。最もまずい問題の解き方は、一度だけ解いて、すぐ答え合わせをして、すぐスクリプトをみて、次の問題に行くことです。これではわかったつもりになるだけでリスニング力が向上しません

リスニング練習で最も注意すべきは、「漫然と英語を聴いているだけではリスニング力は全く向上しない(乳幼児は例外かもしれませんが)」ということです。上記の「黒字・?→青字赤字」のプロセスを踏むなり、間違えた問題の原因究明(「文法」「語彙」「音」)だったり、それら以外の方法であってもとにかく「真剣に」「集中して」聞いた上で、究明した原因に対して適切に対策をしない限り、リスニングのレベルは上がりません。このプロセスを自分で効率よく回すのが難しい場合、私も受講したweb toeflのリスニング講座は検討してみる価値があると思います。ちなみに「文法」でも「語彙」でもなく、「音」が理由で不正解が続出する場合で、かつスピードやリエゾン以前の問題がある場合は、先に発音記号を勉強した方が遠回りにみえて実は近道になる場合もあるかと思います。

(上記を踏まえると、リスニングは例えば混雑している電車での移動中に勉強するにも向いていません。それをするくらいなら、スピーキング用及びライティング用に良質な例文集をひたすらリピート再生して頭に染み込ませる方が遥かに実用的です。)

練習問題はまずは青いオフィシャルガイドで十分だと思いますが、他に取り組む場合は、赤いオフィシャルガイド、バロンズ、デルタ、TPO、あたりのいずれかに取り組むのが吉だと思います。個人的にはweb toeflのリスニング講座で使用した、デルタのリスニングはほどよい難易度(問題によるが平均して本試験よりほんの少し易しい印象)で良い練習になりました。

● ETS The Official Guide to the TOEFL Test (青い本)

● ETS Official TOEFL iBT Tests(赤い本)

● BALLONS

● DELTA

● TOEFL Practice Online (TPO)

スピーキング勉強方法

スピーキング練習の最大のコツは、自分の解答をスマホなどに付属しているボイスレコーダー機能で録音してみることです。私のように、最初はたぶんすごくショックを受ける人が続出すると思いますが、その後で妙に納得します:これでは点数が低いのは当たり前だと。上達しないといけないと。また、スピーキングの点数が低い場合の要因としては、「文法」「語彙」「明瞭さ」の3つがまず考えられます。加えて、リーディングやリスニングと違って4択から選ぶわけではなく自ら解答をつくらないといけないので、「設問にきちんと答えているか」「構成が整っているか」もポイントでしょう。

まず「文法」については「文法ミスによりガンガン減点される」「単調な文法表現ばかり繰り返し使っていて加点されない」に大きく分けられます。「語彙」については「言葉の選択ミスによる減点」もありえますが、多くは「簡単な語彙ばかり繰り返し使っていて加点されない」でしょう。そして「明瞭さ」については「アクセントの位置が間違っていて聞き取ってもらえない」「早口すぎて聞き取ってもらえない」「ボソボソ喋るから聞き取ってもらえない」「あー、えーっと、などが多すぎてすごく聞きづらい」あたりでしょうか。以前の記事にも書きましたが、アクセントの位置さえ正しくて、落ち着いてハキハキと話している限り、「発音」がジャパニーズイングリッシュでも気にする必要はありません。

そして「設問に答えているか」「構成が整っているか」は、練習あるのみです。一人でボイスレコーダーを使って練習するもよし、誰かと一緒に練習してフィードバックし合うもよし、とにかく練習を繰り返して慣れるしかありません。私は英文法を教えてくれた先生のところのTOEFL iBT対策用のクラスで、他のクラスメイトさんと一緒に独立問題の練習をして慣れることができました。もし文法その他は全く習う必要がなくてスピーキングセクションのみをピンポイントで習いたいのであれば、私は通っていませんが東京のET4Gさんも評判が大変良さそうですので、お近くの方は検索してみてください。自習に役立ちそうな教材は下記です。

● ETS The Official Guide to the TOEFL Test (青い本)

● ETS Official TOEFL iBT Tests(赤い本)

● TOEFL Practice Online (TPO)

ライティング勉強方法

ライティングはただひたすら練習問題、つまりエッセイを書きましょう。特に、独立問題対策としては350 words以上を目安に本番で出そうなテーマのエッセイを書きまくることがベストだと思います。そしてもちろんただ書いて終わりではなく、書き終わったらできれば誰か正しい文法理解を備えた人に添削してもらいましょう。一回一回真剣に書けば、5〜10回程度で十分効果が出るはずです(そして最初のうちは、30分という制限時間に拘らず、30分を過ぎたとしても「ミスがないこと」「色々な表現を使ってみること」を優先すべきです)。またできる限り早い段階で「アカデミックライティングのお作法」について、レベルの高い英語の先生や塾、英語のライティングという観点で信頼できる友人知人、もしくはインターネット上でも良いので、情報収集しておくことをおすすめします。

私は正しい文法理解を教えてくれた先生にアカデミックライティングのいろはについて教わりました(なので本ブログで詳細に立ち入ることは控えますが、こちらのライティングの記事で「アカデミックライティングについて一般に出回っているであろう情報」までは軽く触れています)。その上で先生にエッセイを20回以上見てもらって、最初は文法ミスやスペルミスだらけで真っ赤になって返ってきたエッセイが、10回目くらいでほとんど文法ミスがなくなり、英語表現の幅も明らかに広がりました。また、20回も書いていると、練習でも本番でも、以前書いたものと似たようなお題が出てきたり、お題自体は違っても以前書いたものと同じエピソードや英語表現をリサイクルできる状況が出てきたりします。

要するに、エッセイを書けば書くほど、「減点要素である文法ミスやスペルミスが減る」「表現の幅が広がりそれが加点要素となる」「ネタや表現が溜まっていくのでリサイクルできたりする」というメリットがあります。とにかく書きまくりましょう。そしてIELTSではなくTOEFL iBTを受験される方は、できればパソコン打ちで作る方が良いと思います。そうすることで「英文タイピングが速くなる」というメリットも得られます。また、より本番の状況に近づけたい方は、パソコンの入力設定に「US英語」を追加して、「USキー配列」でエッセイを作ることをおすすめします(ライティングの記事に書いた通り、日本語キー配列とUSキー配列とではアポストロフィの入力位置などが違います)。

最後に統合問題にも触れておきますと、現時点では(TOEFL iBTの問題形式が変わらない限り)統合問題は良質なテンプレートの入手と理解が有効です。オフィシャルガイドの問題を解きながら、自分で作成することもできるとは思いますが、私はweb toeflさんの統合問題対策講座で教えていただいた解法及びテンプレートを愛用しています。web toeflさんの講座は「ライティング独立問題」「リスニング」でお世話になりましたが、中身がすごく充実しているのに価格が非常にリーズナブルなので、パソコン環境がある方には広くおすすめできます。

自習に役立ちそうな教材は下記です。オフィシャルガイド(青い本)に独立問題例が150問以上あったと思うので、独立問題対策については基本的に青い本だけで十分だと思います。

● ETS The Official Guide to the TOEFL Test (青い本)

● ETS Official TOEFL iBT Tests(赤い本)

● TOEFL Practice Online (TPO)

【おまけ】おすすめする教材、おすすめしない教材

これまで書いてきた通り、私はごく限られた教材しか使っていません。その代わり、密度濃く教材を使っています。これには、「問題の数を消化するよりも、問題の中身を消化する(ひとつひとつの問題をしっかり理解して納得して先に進む)」ことの方が重要だと私は考えているから、という理由のほかにもうひとつ理由があります。それは、本番の難易度と全く違う(簡単すぎる、難しすぎる)練習問題や、実際のiBTの試験形式と全く異なる(練習にも参考にもあまりならない)練習問題が収録されている、おすすめできない教材が多いからです。TOEFL対策に繋がらない練習問題を解くことは、TOEFL iBTスコアアップにおいても、教養ある人の使う英語の習得においても、効率が悪いと思います。以上を踏まえ、上記に紹介した教材をまとめます:

辞書系

● ロイヤル英文法

● 英和辞書・英英辞書なんでも。

語彙系

● 単語帳TOEFL 3800、もしくはmikan。

● ドラゴンイングリッシュ。

練習問題

● ETS The Official Guide to the TOEFL Test (青い本)

● ETS Official TOEFL iBT Tests(赤い本)

● BALLONS

● DELTA

● TOEFL Practice Online (TPO)

 

 

今日はここまで。

Ciao:)