TOEFL iBTのリスニングはかなり曲者です。IELTSを含む他の試験との最大の違いは、リスニング開始前に設問を読めない(リスニングを聞き終わった後に初めて設問を読める)という点です。リスニングは最大5分程度もあるので、正確な文法理解と高度な語彙力をベースに、「文頭から英文を理解し」「重要なポイントを聞き漏らさず」「メモand/orイメージしながら内容自体を理解する」ことが求められます。対策に最も時間がかかるパートですが、リスニング力はリスニングセクション(30点分)だけでなく、スピーキングセクション(30点のうち20点分は統合問題)とライティングセクション(30点のうち15点分は統合問題)の点数にも露骨に影響しますので、避けずに対策をしましょう

リスニングの問題形式と時間配分

1セットは大問3問・小問17問で構成されています。大問1問目は学生生活の一場面の会話(科目登録、寮の手続き、課外活動、等がテーマ)で、聞き終わった後に小問5つに解答します。大問2問目は何かの科目の入門講義(テーマはリーディング同様に多岐)で、教授が一方的に喋り続けた後に、小問6つに解答します。大問3問目はまた何かの科目の入門講義(こちらもテーマはリーディング同様に多岐)で、教授が講義をしつつも複数人の生徒が途中で質問をしたりします、講義後に小問6つに解答します。

音声を聞いている間は時計が止まっています。つまり制限時間=解答可能時間です。1セット(大問3問・小問17問)につき解答可能時間は10分になりますので、シンキングタイムは大問1つにつき平均3分程度です。全ての小問の配点が同じなので、わからない問題に時間をかけすぎないように注意してください。例えばポイントを聞き漏らした小問についていくら考えても意味がないので、15秒程度で見切りをつけて、次の小問に進むことをおすすめします。尚、リーディングと違いリスニングは一度解答した小問の答えを後から変えることはできません(前の問題に戻ることはできません)ので、正解がわかった問題についてはミスクリックがないよう注意してください。

リスニングセクションでは上記が2セット(大問6問)、もしくは3セット(大問9問)出題されます。後者の場合は、3セットのうち1セットは実際には採点されないダミー問題となります。TOEFL iBTではリスニングもしくはリーディングのどちらかにダミー大問が1つ入りますが、どれがダミーかわからないので全て真剣に解く必要があります。他の人の古いブログ記事を見たりすると、「リスニング3セットの場合は3セット目がダミー」「ラフレシアの問題はダミー」「3セット目はダミーだから、問題を解かずにスピーキングの準備をした方が良い」といった実しやかな情報が散見されますが、少なくとも今日においてはこれらの情報は信じてはいけません。私はこれまで15回受験しましたが、ラフレシアの問題は1度しか見ていませんし、過去に遭遇した問題と同じ問題に遭遇したのも1度だけです。そして、1セット目を明らかにミスした際に高得点が出たこともありました(この時は1セット目がダミーだったと強く推測できます)。何より、ETSが公式発表している情報以外は鵜呑みにしてはいけません。

リスニングのメモを取るか取らないか

リスニングに挑む上で最大の論点はこの「リスニングでメモをどうするか問題」だと個人的に思っています。結論から言うと、メモを取る派、会話問題ではメモを取らずに講義問題2つではメモを取る派、メモを一切取らない派、の3つのうち自分に合った派閥(?)に所属すると良いと思います。

私は以前は盲目的にメモをしていたのですが(当時リスニングは17点〜22点を推移)、ある時「自分がとったメモには、設問に答えるのに必要な情報が何もない」ことに気づきました。メモを取るのに必死で、途中でメモが追いつかなくなったあたりで大事なポイントが出てきて聞き逃していたようです。スクラッチペーパー一面を使ってメモをしているのに、どこにも答えもヒントもないと気付いたときはそれはもうショックでした(笑)。メモを取ることで理解が疎かになるくらいなら、メモをしない方が良いのではないか、と思って以来、私はメモを一切取らない派になりました。メモ無し派の私の直近数回のリスニング点数は26点〜30点満点です。くどいですが30点満点を獲得した際もメモは一文字も取っていません。

しかしこれをもって、リスニングが疎かになるくらいならメモは一切いらない、とは言い切れません。私はもともと、読んだり聞いたりしたものをイメージするのが得意でした。あるいは例えば数学では、数式は壊滅的に苦手なのにも関わらず、図を描いて解ける問題(相似や関数)は得意でした。私はこの性質があるので、リスニングでいきなり「今日は天体の話をします。木星という惑星には…」という話をされた時にも、メモは一切取らずに宇宙を思い浮かべ、木星を思い浮かべ、その動きなどいろいろな情報をひたすら思い浮かべて聞いています。しかしイメージングが好きな人もいれば、苦手な人(もっと他のことが得意な人)もいるので、万人におすすめはできないのです。

内容理解にメモが必要な人に大事なことは、とにかく「良いメモ取り方法」をマスターすることです。信頼に足る書籍や先生からアドバイスをもらい、「良いメモ取り方法」をひたすら練習することです。これはすごく良い機会で、なぜかと言うと、結局は海外の大学や大学院で様々な場面でノートを取ることになるからです。私のような、5分くらいの標準英語で話されている講義であればメモをせずにイメージでなんとか理解できてしまう人も、実際に留学後にはもっと長くて難しくて複雑な状況に遭遇することになるので、結局は上手にノートを取れないときっと海外でやっていけないのです。なので、TOEFLでメモ不要派の人はTOEFLスコアメイクの前でも後でもいいので良いメモ取り方法を覚えること、TOEFLでメモ必要派の人はTOEFLスコアメイクの前に(のために)良いメモ取り方法を覚えること、が大事だと思います。

尚、会話問題ではメモを取らずに講義問題2つではメモを取る派、が私の周りには多いように思います。各セットの最初の会話問題(学生生活がテーマ)では、講義問題よりも遥かに状況を頭に思い浮かべやすいので、メモしなくても数分間ポイントを覚えておくことができる、とのことです。練習問題を解きながらぜひご自身のスタイルを確立していってください。

リスニング勉強方法

勉強方法はこちらにまとめましたので宜しければご参照ください。

 

今日はここまで。Ciao:)