TOEFL iBTのライティングは、正確な文法理解と豊富な語彙をもとに、短時間でまとまった量の文章(統合問題は20分で200words前後、独立問題は30分で少なくとも350words~500words程度)をミスなくタイピングする必要があります。このセクションは4セクションのうち最も「事前に知っておくべきお作法やテクニック」が多いセクションですので、本記事ではそれらも紹介していきますが、まず何よりも重要なのは文法力と語彙力です。TOEFL iBTはあくまで英語力を測る試験なので、仮にライティングの内容がどれだけ良かったとしても、文法ミスやスペルミスがあれば容赦なくガンガン点数が引かれていきます。100点以上を目指す方はライティングで少なくとも25点、できれば27,8点を確保したいところですが、文法ミスが1箇所でもある場合はミスの内容にもよりますが24点以下となる可能性が高いです。まず何よりもミスをゼロにしてください。

ライティング問題形式と時間配分

問題は2つで、統合問題と独立問題が1問ずつです。

統合問題では、アカデミックな記事や教科書の抜粋を3分でリーディング→読んだ内容に関する教授の講義を数分リスニング→読んだ内容と聞いた内容を20分でまとめます。この際、リスニングは1度きりしか聞けませんが、リーディング記事は20分の制限時間中ずっと同じ画面で参照できます。統合問題は150words~225wordsが目安とされていますが、これを超過したとしても加点も減点もありません。普通に書いていれば150wordsを下回ることはない(もし下回るのだとしたら、リスニング力不足です)ので、words数はあまり気にしなくて大丈夫です。一方の独立問題では、与えられたテーマについて30分でエッセイを作成します。ライティングセクションで25点を狙う場合、独立問題では少なくとも300words、できれば350wordsは欲しいところです。27点以上を狙う場合は400wordsを超えてできるだけ多く書くようにしましょう(500wordsに到達していればそれ以上は必要ないと思われます)。

いずれの問題でも、いくら長い文章を書いても文法ミスで点数が引かれてしまっては元も子もないので、最後の3分〜5分は見直しに時間を使うことを強くおすすめします。私はライティングはここのところコンスタントに27,8点ですが、それでも見直し中に1箇所はくだらないミスを発見して冷や汗をかいたりします(単数複数や時制の一致など)。

統合問題特有のポイント

統合問題特有のポイントは、リスニングです。私がこれまで受験した15回は毎回、リーディング記事(主張、論拠1、論拠2、論拠3)に対して、リスニングで教授が疑問を投げかける(論拠1に対する反論、論拠2に対する反論、論拠3に対する反論)形式でした。リスニングでは教授から各論拠について1つ以上のポイント(つまり計3つ以上のポイント)が提示されるので、それを押さえなければいけません。以下も私の経験則ですが、文法ミスやスペルミスがないことを前提として、各論拠に対応するポイントを1つずつ(計3つ)押さえられていて初めて、4.0 good(つまり平均25点レベル)以上の可能性が出てきます。ポイントが2つ以下だと、goodではなくfairとなり、平均24点レベルとなってしまいます。

そして統合問題では、良質なテンプレートが手元にある場合それを使用するのもかなり有効です。というのも、少なくとも今のところ統合問題については問題形式が決まっているので、それに沿ったテンプレートを丸暗記しておけば当日少し楽をできます。ちなみに統合問題のテンプレートや戦い方については、私はweb toeflさんに大変お世話になりました。

独立問題で使うアカデミックライティングのお作法やヒント

独立問題特有のポイントは、まずアカデミックライティングです。例えばボディパラグラフだけで構成される散文は、アカデミックライティングとは呼べません。イントロダクションやコンクルージョンといったいくつかの要素が必要です。私はアカデミックライティングのいろははとある塾で教わったので、ここでは詳細に立ち入ることは控えますが、少なくともイントロ→ボディ→コンクルージョンの3段落に分けるようにしてください。私の周りで人気なのは、左記のうち「ボディ」を複数つくり、全部で4段落か5段落になるパターンです(イントロ→ボディ1→ボディ2(→ボディ3)→コンクルージョン)。

ボディのコツは、まず、1つのボディには1つの主張/根拠/理由しか入れないことです。2つ目の主張/根拠/理由を述べる際にはパラグラフを分けましょう。もし3つ目に行く際も同様です。次に、なるべく身近な具体例を書くことです。これは「独立問題は受験者個人の好みや選択についての論述」であり、アカデミックライティング的には「ボディは説得や裏付けのための段落」なので、一般論を書くよりも具体例を書いた方が説得力が出るからです。そしてなるべく身近な具体例であれば、咄嗟のときにも思いつきやすいし、以前同じような例を使ったことがあればリサイクルもできるからです(小学校の時の先生が…、高校の部活動で…、大学時代にこんな活動をしていて…、短期留学をしたときに…、OO業界でいま働いていて…、自分のおじいちゃんが昔よく…、等々)。

ちなみに、具体例が最悪何も思い浮かばない時や、想像力が豊かな人は、でっち上げるのもありです。私は以前、「教師は生徒に厳しくあるべきか」というようなテーマの際に身近な例が思い浮かばなかったので、架空の高校の友達Kenを作り上げました。その子はもともと頭が良かったけれど日本で一番良い大学に入るように教師や両親に幼少期から厳しくされすぎた結果、日本の大学を受験せずに親元を離れてアメリカに行ってしまい、彼は私には連絡をくれて幸せそうだが、大人たちとは音信不通になってしまった、というようなストーリーをつくって、「だから厳しくすれば良いってもんじゃない」という主張をしました。完全なつくり話です。

あるいは自分の話であっても、全て正確に伝える必要もないです。例えば部活動の県大会の話をしたいとして、県大会って何て言うんだっけ、とか考えるくらいであれば、全国大会(national championship)とかにしてしまえば良いです。自分は将来看護師さんになりたくて、という話のときも、もし看護師さんのnurseのスペルに自信がなかったりしたら、お医者さんdoctorと言ってしまっても良いわけです。要するに、TOEFL iBTはあくまで英語力を測る試験なので、内容が濃かろうが薄かろうが(笑)、ノンフィクションであろうがフィクションであろうが、全く関係なく、アカデミックライティングの体裁を守って、文法やスペルのミスなく、豊富な語彙や表現を駆使して、ロジカルなエッセイをつくれれば良いのです。

独立問題特有のもうひとつのポイントは、分量が多ければ多いほど高得点が狙えるということです。但し、いくつか注意事項があります。まず、文法ミスやスペルミスをしては元も子もありません(どんどん減点されます)。次に、アカデミックライティングでは、内容的に無意味な繰り返し(ただ語数を増やしたいというような理由で、文章をほとんど丸コピペしてリサイクルすることなど)は評価されません。ここで、パラフレーズ(言い換え)の力や、書きたいことを十分な量すぐに思いついてミスなく書ける力、が求められます。そして、分量が多くても、多様な文法力や語彙力が確認できなければ点は伸びません。

分量の目安ですが、多様な文法力や語彙力が発揮できていること、及び、文法ミスやスペルミスが一切ないこと、を前提に、4.0 good(25点レベル)が欲しい方は350 wordsを超えていれば十分です(300 wordsでも足りるのではないかという情報も有力です)。4.5 good(27,8点レベル)が欲しい方は400 words、5.0 good(30点レベル)が欲しい方は少なくとも450 wordsでできれば500 wordsを目安に、ミスなく書けるようになると良いでしょう。

アウトプットセクションのコツ(復習)

スピーキングセクションの記事にも書きましたが、ライティングやスピーキングでは、なるべくシンプルな構文に、肉付けをしていくことです。「日本語」から英語に訳そうとは絶対にせずに、「伝えたいこと」から英文をつくろうという発想で行きましょう。伝えたいことやニュアンスが伝わりさえすれば、和文英訳である必要は全くないのです。つまり「日本語を正しく英語にしよう」とする必要はありません。一方で、「英語自体を正しく使おう」とすることは極めて重要です。例えば、あなたの大学や職場で、後輩が持ってきたレポートの「て・に・を・は」がぐちゃぐちゃだったり、誤字脱字が複数あったり、「だ・である調」と「です・ます調」が混同していたりしたら、どうでしょうか。それ直してからもう一度きてよ、って思いませんか。

海外旅行で意思疎通をする程度なら、ブロークンイングリッシュでも構いませんが、留学や仕事の際にブロークンイングリッシュを押し通そうとすることは避けましょう。「英語自体をなるべく正しく使おう」というメンタリティで、常に自分の英語を改良していかなければ、相対する人間の気力と体力と時間を無駄に奪うことになります(再び自戒の念も込めて)。というわけで、まず何より正確な文法理解をもとに文章を組み立てられることが最優先です。そして語彙や表現の持つニュアンスなどにも気を配れたら尚良いと思います。その上で、ネイティブが使うナチュラルな英語を目指せば良いでしょう。

TOEFL iBTで使用するキーボードについて

日本の会場では、ほぼ全て日本語キーボードが設置されていますが、入力はUSキーボード配列になります。アルファベッドの位置は印字されている位置と同じで、他もそんなに変わらないのですが、アポストロフィ(I’mの「 ‘ 」の記号 )の位置が全然違うことには注意してください。日本語キーボードで英語入力している人はおそらくシフトキーを押しながら左上の方のキーを押してアポストロフィを入力していると思いますが、USキーボード入力だとシフトキーは押さずに右の方(Lキーより右)にアポストロフィ専用キーがあるので、それを押します。会場に入るとキーボードの脇に「日本語キーボード・USキーボードのキー対応表」があるのでそれを見ればどこにアポストロフィがあるかわかります。USキー配列に慣れていない方は、試験開始前など時間がある時に対応表を確認しておくことをおすすめします。

ライティング勉強方法

勉強方法はこちらにまとめましたので宜しければご参照ください。

 

【おまけ】独立問題で使える語数UP(&表現力アピール)作戦

熟語は語数UPに有効です。また、仮定法や比較や分詞構文等は「正しく使えれば」加点要素なので、よく使う表現をストックしておくことは有効です。パラフレーズも「正しく行えれば(当然スペルミスもせず)」加点要素なので、よく使う表現をストックしておくと良いと思います。

It is not too much to say that… / It goes without saying that… / Needless to say,

Without X, S could/would/might V… (仮定法構文)

The more S V…, the more S V… (比較構文)

As is often the case with A,

As far as I am concerned,

Firstly, / First and foremost, / To begin with,

Secondly, / Second of all,

for instance / for example

On the other hand, / On the contrary, / In contrast,

Finally, / Last but not least,

In conclusion, / To sum up, / In short, / In a nutshell,

Whether S V… or not,

 

in order (for O) to / so as to

in order not to / so as not to

despite / in spite of / regardless of / notwithstanding / none the less

Although S V… / though S V… / Granted that S V…

while / whereas

however / but / yet

because / since

because of / on account of / thanks to / owing to / due to

so / therefore / consequently / hence / thus

besides / in addition / also / moreover / what is more / furthermore

too / also / as well

not only A but also B / B as well as A

use / utilize / to make use of / to make full use of

S make O [原型V] / S enable O [to 不定詞V] / Thanks to O, S can V…

 

今日はここまで。Ciao:)