TOEFL iBT(及びIELTS)の特徴を集約すると、「正確な文法理解が求められる」「高度な語彙力が求められる」「戦術の有無が当日のパフォーマンスに影響を及ぼす」の3点です。この3点はTOEICや英検とは一線を画しており、この内「文法理解」と「語彙」は英語の実際の運用力に直結するので、『TOEFL iBTの対策を行う=英語力が上がる』ことになります。海外留学開始時点で、所謂文系の日本人学生が到達しておくべきレベルのイメージとしては、学部生90点以上(できれば100点以上)、大学院生100点以上(できれば110点以上)です。

試験形式のおさらい

TOEFL iBTは下記の通り、120点満点で、試験時間は約4時間30分です。大学院留学では、多くの大学院で100点が足切りラインとなっていますので、多くの受験生がまずは100点を目指すことになります。

● リーディング:30点満点。3パッセージ90分(もしくは4パッセージ120分)。

● リスニング :30点満点。2セット60分(もしくは3セット90分)。

● 休憩    :たったの10分。

● スピーキング:30点満点。独立問題2題+統合問題4題の、計6題。

● ライティング:30点満点。統合問題1題+独立問題1題の、計2題。

文法理解が極めて重要

4技能全てを試されるTOEFL iBTですが、文法が核心的に重要な理由は以下の通りです。

● ライティングセクション(W)において、文法ミス(時制、単数複数、語順、等の不一致や誤り)は大きな減点対象となります。それだけでなく、文法に自信がないと既知の代替表現を探さざるをえなくなるので、単純な表現ばかり繰り返して加点されなかったり、必要な語数に届かないまま時間切れになります。また苦手とする日本人が多い「分詞構文」「比較」「仮定法」等の多少高度な表現も織り交ぜないと点が伸びません。

● スピーキングセクション(S)においても上記と同様ですが、思考からアウトプットまでの時間がWより更に少ない(瞬発力で回答しないといけない)ので、正しい文法が無意識レベルに染み込んでいないと、文法ミスで大幅に減点されるか、全く意味不明なスピーチになるか、あるいはそもそも何も話せなくて無言で終わってしまいます。

● リーディングセクション(R)は4セクションで最も時間が長いのですが、それゆえに、最も複雑な英文が登場します。その上、分量も多いです。多くの日本人が経験したであろう受験英文和訳の要領で、英文を後ろから訳して意味をとっていては、まず間に合いません。正確な文法理解がないと、英文を前から読めません。

● リスニングセクション(L)は、当然スクリプトがないので、普通に英文を前から理解する必要があります。尚、iBTではLだけでなくSとWにおいても配点の半分以上はリスニングが絡む(リスニングした内容を話したり書いたりする)ので、英文を聞きながら、英文を前から理解できないのは致命傷になります。

文法及び各セクションの具体的な対策方法についてはこちら

各セクションの特徴やポイントについては、RLSWをそれぞれご参照ください。

高度な語彙力が求められる

語彙力といっても、英検1級のような物知りクイズ系の単語や、TOEICのようなビジネス系の単語は基本的に出ません(もし出ても設問の解答に必要ではないことが大半です)。TOEFL iBTではアカデミック系の単語や実際に留学先で必要になる語彙を中心に幅広く対応する必要があります。また、アウトプット用の語彙が必要になることも特徴です。

● インプット用の語彙(R・L用)については、単語帳TOEFL3800のランク3まで習得していれば本試験で各27,8点が十分狙える語彙力(但し、語彙力だけでは片手落ちなので上記の文法力とセットでの習得が必須)です。ちなみにランク2までの習得だとせいぜい各20点程度と推察します。私はランク3までは全て憶えてランク4はまだ2割程度の状態で、Rは最高29、Lは最高30でした。但しリスニングについては、前後の単語がリエゾンして(前の単語の最後の音と、後ろの単語の最初の音が繋がって)知ってる単語なのに聞き取れないということもよくあるので、語彙力強化に加えて「知っているのに聞き取れない語彙」をなくす必要があります。

● アウトプット用の語彙(W・S用)については、難解な単語を憶えるというよりむしろ、論理を組み立てるときに使える使用頻度の高い単熟語を、実際に使えるようにする必要があります。また、同じ単語ばかり繰り返し使うと語彙力不足と判断されるので注意しましょう(例:inspite ofが自分のエッセイに複数回出てくるようであれば、despite…, regardless…, notwithstanding… といった単語や、although SV, though SV といった副詞節を使った言い換えや、however, yet, stillといった接続副詞を使った言い換えを適宜使うべき)。

語彙の具体的な対策方法についてはこちら

戦術もスコアに影響する

TOEFL iBTは4時間半に及ぶ試験でありながら休憩が10分しかなく、体力勝負なので体調管理が大切です。さらに、入室した受験生から順番に試験が始まるという性質上どうしても自分の試験中のどこかのタイミングで雑音が入りますが(他の人のマイクチェック及びスピーキングセクション)、会場選びや入室のタイミングによって雑音の影響を最小化できます。

英語力以外にスコアに影響する具体的な戦術はこちら

 

今日はここまで。Ciao:)