先日、初めてのボーゲル塾(ハーバード松下村塾)に行ってきましたので、レポートをしたいと思います。

日本と世界の「将来について」「大きな視点で」議論をするボーゲル塾

そもそもボーゲル塾とは何なのか、まずは下記の説明をご覧ください(フレッチャージャパンクラブのサイトより引用)

ボストンエリアに留学する魅力はたくさんありますが、世界レベルの大学が数多く集まっているため、多くの優秀な日本人研究者や日本人留学生と議論ができることも見逃せません。

「ボーゲル塾」も、そんな日本人同士の交流と勉強の機会の一つ。元ハーバード大学社会学部教授のボーゲル先生(1979年に、「Japan as Number One: Lessons for America」を執筆された方です。)のもとで、日本と国際社会の関わりを中心に日本や世界の将来について長期的・多角的な視点から自由闊達な議論を行い、塾生の成長を通じ社会への貢献を図る、というのが目的です。

2016~2017にかけての1年間では、以下の4つの分科会がありました。

  1. 「国際政治」:外交全般、防衛・安全保障、政治・歴史等
  2. 「国際経済」:経済外交、通商政策、国際金融等
  3. 「企業の国際競争力」:経営戦略、企業統治、海外投資等
  4. 「サステナビリティ」:教育、保健医療、環境・エネルギー、移民等

フレッチャー生も、各々の興味に応じて分科会に所属しており、毎回の議論に積極的に参加しています。各自年1〜2回、発表担当になった際は、議論のテーマを詳細に詰め、背景知識となる資料を集めてメンバーに提供し、当日のファシリテーションも行います。

昨年は分科会のラインナップが少し違ったようですが、今年はほぼ上記と同じ4つの分科会があります。私は先日は国際経済の分科会にて、昨今アメリカの通商政策(対中/対EU/対日)や貿易戦争そしてその将来について、素敵な先生と塾生と自由闊達な議論を楽しみました(先日お邪魔してきたボストン日本人研究者交流会同様、こちらも議論内容は原則非公開なので、肝心の中身についてはこんなふわっとした感想しか書けず申し訳ないのですが、塾生メンバーは第一線の研究者の方々からトップMBA等に来られている社会人の方々など各分野のエースが集結していました)。

「塾」という名前に込められた思い

(ジェンドルマンで博識なボーゲル先生。上の写真はAPU(立命館アジア太平洋大学)のサイトより引用)

かれこれ15年以上にわたって、ボーゲル先生のご厚意で開催されているボーゲル塾ですが、この「塾」というネーミングは、「松下村塾」をイメージしてボーゲル先生がつけたとのことです。初回の塾でボーゲル先生はこんな趣旨のことを仰っていました:

  • 明治維新の頃の日本人たちは、この国をどうしていきたいのか、Big pictureを描いていた。
  • しかし例えば1930年代の日本人たちは、各々の組織や周囲にある物事ばかりに気を配り、国のBig pictureを持たなかったのだと思う。
  • 今の日本にも、Big pictureが必要なのではないか。

もともとは日本研究の専門家だったボーゲル先生ですが、日本の失われた20年の間に、先生は中国研究も行うようになったので、今は日本及び中国の専門家でいらっしゃいます。しかし今でもボーゲル先生は年に1度は日本を訪れてくださっており、大変な知日家で親日家です。「Big pictureを描け」というメッセージは、そんなボーゲル先生からの、日本そして日本人が世界で活躍し貢献することへの期待が込められていると思いました。

塾の構成(入塾に興味がある方向けにご参考まで)

塾は9月からはじまり、5月までとなります。年に3回程度、全体で集まる機会がありますが、普段は、興味関心に応じた分科会に分かれて活動しています。分科会は年によって多少異なりますが、今年は「国際政治」「グローバル経済」「ビジネス」「サステイナビリティ」という4つの分科会があります。塾生は必ず1つの分科会に所属し、9月から5月までコミットすることになります。

分科会ごとに毎月1回ペースで本番勉強会があり、ボーゲル先生のご自宅で行われます。また本番勉強会に先立ち、その数日前に塾生のみで事前勉強会を行います。つまり、塾生は基本的に、年度を通して所属先分科会の毎月2回の勉強会(事前勉強会・本番勉強会)に出席することとなります。そして先に引用した通り、「各自年1〜2回、発表担当になった際は、議論のテーマを詳細に詰め、背景知識となる資料を集めてメンバーに提供し、当日のファシリテーションも行います」。

なお、ボーゲル塾は年度の途中から参加することができない為、参加希望者は年度始めの説明会(今年は9月3日(祝)でした)に参加し、正式に参加登録する必要があります。この点、スポット参加が可能なボストン日本人研究者交流会(BJRF)やボストン開発コミュニティとは異なりますので、ご注意ください。よって、ボーゲル塾に関心のおありの方は、情報収集して年度始めの説明会の日程を確認・参加されるようにしてください。

See you soon:)