GRE/GMATは、Quantitative(GMATの方はQuantitativeに加えてIntegrated Reasoning)を最優先して対策をすべきです。理由は単純で、左記はTOEFLで測ることができない能力だからです。また、Verbal及びWritingの対策を行う場合には、TOEFL iBTで少なくとも90点以上を確保してから始めるべきです。TOEFL iBTのRとWで各27点くらいのレベルがないと、GRE/GMATのVerbal及びWritingの対策をしたところで点が伸びません。逆に言えば、TOEFL iBTで各27点くらいに到達するまでは、TOEFL iBTのR・W用の勉強をしてさえいれば、GRE/GMAT用の対策をしなくともGRE/GMATの点が伸びていきます。

私はGMATは受験していないので、本記事では基本的にGREのみに言及します。

GREとTOEFL iBTの違い

TOEFL iBTは、「英語が母国語ではない人」の、「(米英等の大学/大学院で学ぶ上で必要な)英語力を測る」ための試験です。IELTSも趣旨は同様です。

一方のGRE(及びGMAT)は、「(英語が母語であるか否かに関係なく)大学院入学希望者全員」の、「英語力・分析力・数学力を測る」ための試験です。これらの試験は、受験する大学院によって、GREスコアが必要な場合、GMATスコアが必要な場合(主にMBA)、どちらのスコアも必要ない場合、に分かれますので、大学院のHP等で確認してください。

また、GREは大学院入試に使われますが、SATという学部入試に使われる試験もあります。どの試験のスコアが必要なのか受験校のHPで確認して、くれぐれも間違えないように注意してください。

GREの問題形式と時間配分

3科目あり、所要時間は約4時間です。

・Analytical Writing(AW=小論文):エッセイ2本。1本につき30分。6.0満点で0.5点刻み。

・Verbal Reasoning(V=英語読解&語彙):大問2問(*)。大問1つにつき35分。130点〜170点で評価。

・Quantitative Reasoning(Q=数学):大問2問(*)。大問1つにつき25分。130点〜170点で評価。

(*) VもしくはQのどちらかは、大問3つになり、内1つが採点されないダミー問題となります。

また、VとQは、1セット目の出来で、2セット目の難易度が変動します(2セット目の難易度が上がっていれば、2セット目の出来次第では満点を狙いにいけるということです。2セット目の難易度が下がっていれば、2セット目ではなるべく一つも取りこぼさず正解して何とか粘るべきです)。

そして、どの問題も、点数に加えてパーセンタイルが発表されます。これは、全受験者の中でどのレベルにいるかを100パーセント換算でわかるようにしたもので、数値が高ければ高いほど高順位です。仮に40パーセンタイルなら、全受験者の中で下から数えて4割の得点というように見ます。仮に95パーセンタイルなら、全受験者の中で下から数えて9割5分、つまりトップ5%の得点というように見ます。

Analytical Writing(AW:小論文)

TOEFL iBTのWよりも、当然ながら、難易度が高いです。これは、設問に解答する難易度が高いというより、エッセイ中でより高度な表現や自然な表現が求められていることに起因していると思います。私の場合、TOEFL iBTでW27~28(満点は30)を安定して取れるようになったときにGREを受けて、1回目3.0(18%)、2回目3.5(42%)でした(満点は6.0)。尚、GRE AWの対策は特にしていません(Quant目的で受講したMagooshのビデオを一度見ただけです)。

このように、明らかにTOEFL iBTのWセクションよりGREのAWセクションの方が点数が辛口なわけですが、非ネイティブはそこまで気にしなくてよいと思います。というのも、非ネイティブの英語力はTOEFL iBTで測れる上、多くの大学院がiBT 100点を最低ラインに設定していることからもわかるように、iBTで100あればあとは入学前後の研鑽でなんとでもなるということです。よって、AW(及び下記に記載しているV)の対策よりも、TOEFL iBT対策及びGRE Q対策の優先順位を上げるべきです。

Verbal Reasoning(V:英語読解&語彙)

こちらもTOEFL iBTのRよりも、桁違いに難易度が高いです。理由は、語彙問題に出題される語彙がマニアックで相当難しいこと、読解問題は英文の長さこそiBT Rより短いもののその分ポイントが理解できないとお手上げになること(iBT Rは全体を通して内容の理解ができれば高得点が狙えるが、GRE Vでは文脈がほとんどない状態でもその箇所を正確に理解できないと得点につながらない印象)、そして選択肢が少なくとも5個以上あること、が挙げられます。

私の場合、TOEFL iBTでR26~29(満点は30)を安定して取れるようになってきたときにGREを受けて、1回目Vは145(27%)、2回目Vは144(24%)でした(最低点130〜満点170)。尚、GRE V対策は一切何もしませんでした。何も対策せずに臨んだ理由は、上記AWに記載したのと同じ理由で、Verbal対策よりも、TOEFL iBT対策、GRE Q対策、及び出願エッセイ執筆の優先順位を上げるべきだと判断したからです。それらを優先した結果、V対策の時間が捻出できませんでしたが、特に後悔していません。

Quantitative Reasoning(Q:数学)

この数学セクションだけは、時間が許すのであれば全力で対策することをお勧めします。理由は主に下記です:

・出題範囲及び難易度が、ほとんど日本の中学数学(標準偏差のみ高校数学)であること。つまり、数学が得意が方はここで稼ぐべきで、数学が苦手な方も対策さえすれば高い点数が取れるはずだということ。

・アジア人(特に日本人)は、英語はできないが数学はできる、という共通認識をアドミッションが持っている。つまり、Qの点が高ければ(かつTOEFL iBTの点が取れていれば)、VやAWが足を引っ張ることはまずないと思われる。しかし逆に、VやAWがまともに取れないのにQの点も低いと、相手の期待値を下回ってしまう(他の出願資料やスコアでの挽回を強いられる)。

・GRE(TOEFLもですが)のスコアが高ければ高いほど、合格しやすくなるだけでなく奨学金をもらえる可能性が高くなる。

このセクションだけは、私ももっと勉強すればよかったと後悔しています。ここで高得点が取れていれば、より戦いが楽になっていたはずですし、何より勉強時間を捻出できずに持っていた数学の練習問題(後述のMagoosh)約600問のうち300問弱しか解いていない(しかも各1回ずつしか解いていない、つまり問題集0.5周)状態で試験に臨んでしまったからです。そんな私のQのスコアは、1回目2回目共になんと155点(59%)でした(最低点130〜満点170)。

GRE勉強方法

オンライン講座のMagooshが提供している、GRE向け講座(6ヶ月使い放題で149米ドル)が最高にお勧めです。全編英語ですが、大変わかりやすい講義ビデオが200本(数十時間分)、そして丁寧な解答解説付きの練習問題が1,000問以上ありますので、他の問題集はもはや必要ないと思います。模擬問題を通して、本試験で獲得できそうな点数を把握することまでできます。私がGREについてはほとんど時間をかけられなかった中で、超省エネで及第点に届いたのはMagooshのおかげです。

また、何らかの理由で、PC画面ではなく紙媒体で勉強したいという方もいらっしゃると思いますが、その方はBarron’sなどの問題集を使うと良いと思います。いずれにしても、とにかく本試験と同様の傾向と難易度の練習問題を解きまくることが重要です(Vの高得点をどうしても取りに行きたい方は、GRE用の単語帳も併せて使用すると良いでしょう)。

TOEFL iBT(及びGREのQ)の方が、GREのVとWより優先順位が高い理由

私はTOEFL iBTは10回以上受験しましたが、GREは2回しか受験していません。点数もいまひとつ(というかかなり低い)でしたが、第一志望と第二志望の大学院(どちらも国際関係大学院ではトップ校)に合格できました。各大学院は、それぞれの大学院の求める人物像や能力を踏まえつつ、holisticに選考をしていることはわかっていたので、「英語が非ネイティブの自分はGREではなく、TOEFL iBT及びエッセイ等の他の出願書類に力を入れる」という戦略が功を奏した形です。

また、私は国際関係大学院のトップ校のうち5校をキャンパスビジットしましたが、少なくとも今から半年前にキャンパスビジットをした時点では、非英語圏の留学生に対し、HKSとSAISを除く3校においてはそもそもGRE自体をそれほど重要視していない印象を受けました。SAISについても、重要視しているのはQセクションのみの印象を受けました。少なくともMBA組にとってのGMAT/GREよりも、遥かにウエイトは軽いという印象です。受験先の学校が高いGRE/GMATスコアを求めているのか事前に探れる範囲で探ってから、必要に応じた対策を行うと良いと思います。

ただし、別記事で言及しましたが「奨学金の有無や大小の決定に際しては、GREのスコアは重要」になる印象です。官公庁や企業からの派遣組ではない人は、できるだけ頑張るに越したことはありません。

【注目!】GREは実は、セクション別ベストスコアの組み合わせが認められる場合がある!

更に、私が受験したトップ校2校(=合格した大学院)では「GREはセクション別(AW・V・Q)のベストスコアを取ってあげるから、複数回受験して、どれか1つのセクションでも前回より良い結果が出たらスコアを送ってくるように」と説明会で言われました。このあたりの判断は学校にもよると思いますが、GREに自信がなければぜひアドミッションに聞いてみることをお勧めします。

GRE試験会場

東京(御茶ノ水ソラシティ)、大阪(中津)の2択です。選択肢が少なくて遠方の方は大変ですが、いずれの会場もTOEFL iBT受験で選択できる中で最高品質の会場であること、及びTOEFL iBTと違ってGREにはスピーキングもリスニングもないこと、によって、快適に受験できるはずです。

そして、GRE(東京及び大阪)では開始時間の選択肢が2種類あり、午前9時開始と、午後1時半開始(2018年3月の本記事公開時点!)から選べます。但し、試験日程は休日よりも平日が多いので、働かれている方は必要に応じて有給取得や半日休取得をしましょう。曜日を選ばなければ、直前でも意外と空いていたりします。

尚、TOEFL iBT同様、パスポート以外のものは基本的に持ち込めず、主に計算用のスクラッチペーパーと鉛筆も会場で配られたものを使用します。そして試験に使用するPCには画面上に電卓が備え付けられていますが、使い勝手が悪いこと、及び、GREのQではナンバーセンスを問う問題が多いことから、電卓に頼るべきではありません(効率的な解法を知らずに電卓に頼って解こうとした場合、時間が全然足りなくなるようにできています)。

 

今日はここまで。

Ciao:)