フレッチャーでは卒業要件のひとつとして、英語以外の言語も堪能であることを証明する必要があります(これは、国際関係大学院のトップ校ではわりと一般的な条件でもあります)。そのために、外国語の筆記試験及び口頭試験が用意されています。筆記試験は年に3回程度設定されていて、口頭試験は自分で担当言語の教授にアポを取って受験します。

今回は、フランス語の試験を受けて来た話なので、昔フランスで私が撮った写真を幾つか貼っておきます。

外国語に堪能であることもフレッチャーの卒業要件

All students receiving degrees from The Fletcher School must possess the ability to speak a foreign (second) language sufficiently well to converse with a native speaker as well as read and restate into English primary materials on contemporary topics involving foreign affairs. Students who are unable to pass the language proficiency exams cannot be allowed to graduate. …(フレッチャーのサイトより引用)

毎回用意されている言語は、アラビア語、中国語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、ヘブライ語、ヒンディー語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、スワヒリ語、ウルドゥ語です。その他の言語で受験したい場合は個別交渉次第では受験可能なようです。

ざっくりしたレベル感としては、要件達成には少なくとも中上級〜上級レベル以上が求められていると思います(但し、アラビア語、中国語、日本語、韓国語は、中級以上でOK)。詳細後述します。

と言いつつ、非英語圏出身者は外国語=英語で代替可

ちなみに、英語が母国語ではない人は、母語+英語に堪能であればOKということになっています。フレッチャーに入学できるくらいの英語力のある人は、普通に学生生活を過ごしていればまず問題ないようです。

… Foreign nationals whose native language is not English and who have received a substantial portion of their education in their native language may have English accepted as their second language. Generally, these students will have completed the TOEFL (Test of English as a Second Language) exam. … (フレッチャーのサイトより引用)

なので、私のような日本人をはじめ、非英語圏の学生の大半はフレッチャーの外国語のテストは受けない(英語力が十分にあることだけを証明する)ようです。だから、私はフレッチャーの外国語の試験に合格する必要はない、のですが、、、

でも、試験受けたかったら受けて良いとのこと。(フランス語の筆記試験を受けて来ました)

「でも、せっかく昔フランス語やっていたしなぁ」

そう思った私は、アメリカ人やイギリス人に混じって外国語の筆記試験を受験してきました。フラ語はスペ語をはじめとする他のメジャー言語の試験と試験会場が同じだったので、色々な言語の受験者(ほぼ英米人)が同じ大ホールに。

日本人である私は本来受ける必要のない試験なので、その場で一緒のホールにいた友人たちは私を発見すると概ね「まじか(笑)→いや、でも偉いな!→お互い頑張ろう!!」というリアクションで、「サプライズ→リスペクト→同志として認識」された感じでした(笑)。

そんなこんなで受験してきたのが1か月前の話。時間配分を大胆にミスっていたので、結構不安でした。仏文英訳の方が仏文和訳より簡単だと思っていたのですが、仏文を正確に理解した上で「英文を正確に書かないといけない」というのは、どちらの言語も非ネイティブな私には想像以上に難しく感じました。

ようやく採点結果が出たとのことだったので今日事務所まで取りに行ったところ、

普通に合格していました。(*・ω・)ノよかった〜

ちなみに今年のフランス語の試験も、昨年同様こんな感じでした(フレッチャーのサイトに昨年秋の試験が公開されていたので、参考にリンクを貼っておきます):French Exam_9-2017

外国語試験(筆記)のレベル感と、フランス語の例

さて、私は今回、

  • General professional(ILR level 3相当=上級)レベル

の試験に合格しましたが、

  • Advanced professional(ILR level 4相当=超上級)レベル

の試験には合格していない(時間切れで間に合わなかった)ので、在学中にもう一度受けようかなと思います。卒業要件としては筆記試験はもう不要ですが、フレッチャーの成績表にどのレベルの外国語試験に合格したのか記載してくれるらしいので、もし余裕があったらやっておくに越したことはありません。

また、ネット上に出回っている幾つかの(おそらく非公式な)換算表によると、ILR 3が欧州レベルC1、ILR 4以上が欧州レベルC2ということになりそうですが、私が受けたフランス語の筆記試験については、感覚値として欧州レベルB2を持っていればGeneralに、欧州レベルC1を持っていればAdvancedに、十分合格できると思います。

というのも、私のフランス語はDELF B2にわりとギリギリの点数で合格したレベルですが、Generalの内容もAdvancedの内容もだいたい理解できること、及び、今回実はノー勉の記念受験だったのですがGeneralに合格できたこと、から判断すると、それぞれB2とC1くらいのレベルと思って良いと思います(尚、試験には受験言語⇄英語の紙辞書のみ持ち込み可能です)。

というわけで、第二外国語で中上級レベル(欧州B2レベル)を狙える実力がある人は、積極的に受験してみていただければと思います。

そもそも英語をもっともっと伸ばさないといけない今の自分ではありますが、せっかくフランス語もある程度やってきたので、上手く時間をやりくりしてどっちも伸ばしたいなと思います。その先のキャリアとして国際機関を見据える場合、国際機関ではやはり英語能力に加えて、フランス語・スペイン語・アラビア語等の(第二)外国語能力を重視する傾向が顕著のようなので。DELF B2でも履歴書に十分書けますが、やはりDALF C1が欲しいところです。

(おまけ)フレッチャーが外国語試験を課す意味:外国語のできる学生は、非英語圏からの留学生の英語に寛容な傾向あり

これまでの2か月半を振り返って、同じアメリカ人でも、「外国語を苦労しながら勉強したことがあるアメリカ人」や、「周囲の親しい人に、アメリカ育ちのアメリカ人以外がいる環境で育ったアメリカ人」は、日本人の英語を含む留学生の英語に対する理解力が高く、寛容さも高い傾向があることがわかりました。

逆に、国際色豊かなフレッチャーではどちらかというと少数派ですが、外国語の運用で苦労をしたことがない(ほぼ英語だけで生きてきたetc.)アメリカ人は、留学生の英語に対して容赦ないような気がします(苦笑い)。なので、前者のアメリカ人とは普通の会話も難しい議論も成立するのに、後者のアメリカ人とは話が全然盛り上がらなかったりします(汗)。

この対比を感じるたびに、外国語を卒業要件として課していることの隠れたメリットは、アメリカ人をはじめとする英語圏出身者に、外国語を学んで運用する苦労をさせることで、彼らの英語でのコミュニケーション力をより柔軟にできることなんじゃないかと、個人的に思っています。

A bientôt 🙂