本ブログの主なテーマは海外大学院進学ですが、私は学部時代に交換留学も経験していますので、そのあたりの話も思い立ったときにぼちぼちまとめておこうと思います。今回は交換留学先の選び方についてです。もし自分がもう一度留学するならor当時の自分に助言できるなら、少なくとも伝えたいポイントを挙げてみます。留学を志している未来のグローバル人材の留学先選びに、何か少しでも参考になれば良いなと思います。また、今回ピックアップする7つのポイントは、交換留学向けに書きましたが、短期留学の場合にも当てはまると思いますので、交換留学を検討中の方はもちろん、短期留学を検討中の方も宜しければ読んでみてください。

専門分野は決まっているか

もし既に、興味のある学問分野や、将来ついてみたい職業などが、ある程度具体的にイメージできているなら、それについて学べそうな、大学、学部、教授、学友、土地や歴史、課外活動(インターンやボランティア等)、のいずれかが存在していそうかどうかは良い基準になります。留学先選びに際してこの観点は、少なくとも大学院生にとっては全員必須ですが、学部生にとってはその人次第です。もし、異文化体験や語学習得など、他に主目的があったり軸足を置いている場合、専門分野についてはあまり意識しすぎる必要はないと思います。

どの語学をどこまで伸ばしたいか

英語を伸ばすのか、英語以外の言語を身につけるのか、そして将来どのレベルでその語学を運用できるようになりたいのか(趣味や旅先での会話のレベルから、商談や交渉で使うレベル、通訳や翻訳のレベルまで色々あります)、考えてみると良いと思います。尚、もしも英語以外の言語(ここでは第二外国語・二外と呼びます)を仕事で使いたい場合、特殊なキャリアを歩んだりレアな職業に就かない限りは、世の中において二外が単独で強みになることはほとんどなく、二外と英語がセットでできて初めて大きな強みになるケースが大半なので、二外を頑張ることは素晴らしいですが英語もある程度やっておくことをおすすめします。

尚、留学前にどれくらい語学をやっておくべきか、については別記事にまとめます。

趣味や特技を活かせそうな課外活動はあるか

大学内外どちらでも、スポーツ、楽器、演劇、美術、旅、ボランティア、インターン、などの学業以外の経験は最高の思い出になるし、その時の友人とは深い絆で結ばれることが多いので、それも留学先選びの基準になります。私の場合は例えば、交換留学先が山あいの街だったので、冬は毎週、留学先の大学の友達や日本人会のメンバーと日帰りスキーに行ったり、大学主催のスキー合宿に参加したりしました。ヴァイオリン弾きの友人は留学先の街のオーケストラに参加していたり、国際機関に将来勤めたいと思っていた友人は国際機関でインターンをしていました。美術や演劇が好きなら、美術館や劇場が近くにあれば通いまくれるし、野球やバスケが好きなら、アメリカの大学には部活やサークルがあるかもしれません。サッカー好きの友人も何人かいますが、プレミアやリーガやブンデスの試合を生で観戦したりしていました。

学友や市民の顔ぶれはどうか

留学先の大学や土地における留学生(外国人)比率や、出身国比率など、あるいは留学先国内でも出身地域や社会階層など、留学先でどんな文化の中に浸かりたいかも基準になるかもしれません。例えば、NY・ロンドン・パリ・ベルリン・シンガポールなどは、色々なバックグラウンドの人が集まっているでしょう。一方で、オハイオ・バーミンガム・トゥールーズ・ライプツィヒなどは、国は同じでも人々の持つバックグラウンドの構成比が全く違うでしょう。あるいは同じNY州内でも、シラキュースとマンハッタンでは全く違うし、同じマンハッタンの中でも、上の方と真ん中の方と下の方では全く住んでいる人が違います。また他の例で言えば、もしアジアアフリカに興味があるとしたら、ロンドンのSOASへ通う(その分野の研究が世界的に最も進んでいる学校の一つへ行く)のも良いかもしれませんが、カイロの大学(その分野の現地の学校の一つ)に通うのも良いかもしれません。

気候や環境はどうか

厳しい暑さや寒さがある地域、冬季の日照時間が相当短い地域、曇りや雨が多めの地域、大気汚染等で空気が良くない地域、などは人によっては向かない場合もあるので、これも基準になるかもしれません。ヘルシンキへ行った友人は冬季の日照時間が短いのが合わずにその時期だけ病んでいたり、ウィスコンシンへ行った友人は冬の寒さが強烈だったと語り、ロンドンやシアトルの友人は冬は曇り空と雨で多少どんよりしたと言い、北京へ行った友人は時期にもよるが大気汚染は確かに感じると教えてくれました。ポイントは、何がどの程度OKで、どの程度NGかは、完全に人によるということです。また、行ってみないとわからないこともあります。あまり神経質にならずに、しかし、自分がどうしても苦手な気候や環境がある場合には留意しつつ、下調べをしてみると良いと思います。

また環境といえば、都市部のキャンパスで学生生活を送りたいのか、それとも郊外や田舎の広大なキャンパスで学生生活を送りたいのか、という観点もあるでしょう。例えば、都市部の方が学校内だけでなく学校外の刺激や機会が充実している傾向にある一方、郊外や田舎のキャンパスの方が都市部から離れていることで必然的に学内で学生同士で過ごす時間が長くなり、友人とのより絆が生まれやすいかもしれません。あるいは、ずっと住んでみたかった憧れの都市があるなら前者でしょうし、絵に描いたような広大なキャンパスでの生活がしたいなら後者でしょう。他の6つのポイントも踏まえつつ、考えてみると良いと思います。

治安は大丈夫そうか

治安状況(特に、自衛が容易な軽犯罪件数よりも、凶悪犯罪件数)も重要な基準のひとつになると思います。その一方で、私見ですが、日本人にとっての海外でのテロは、外国人(や日本人)にとっての日本における地震と同じようなものだと思うので、警戒は必要ですが過度に怯えることはない(地震と同じく、心配してもキリがないので&被害に遭う確率自体は低いので)と思います。むしろ、スリや強盗をはじめとするどこでも起こりうる危険に遭わないようにしたり、万が一に遭っても被害を最小限にすること、そして女性の場合は何よりも襲われないようにすることの方が大事です。「深夜のスケジュールは絶対に避けるべき」など、過去に日本人が残した教訓については少なくとも一通り学んでおくことが大切かと思います。

色々書きましたが、これらは日本を含めて世界中どこでも存在するリスクなので、留学=危険という理解をしないようにしてください。

何か原体験があるか

最後に触れておきたいのはこのポイント。交換留学を志す大学生や高校生は、既に15年や20年といった人生を送ってきたのですから、いまの彼・彼女の原動力や指針をつくった重要な原体験を既に幾つか経験していたとしても全く不思議ではありません。そしてその原体験が、留学先選択の鍵となることは大いにありえます。小さい頃海外に住んでいて…、とか、中学生の頃にテレビで見た光景が…、とか、人によって原体験は当然千差万別なので何でも良いのですが、もしそういう原体験に動かされて「ここに行きたい」とか「これを勉強したい」という風に思えるのであれば、原体験は留学先選びの立派な判断材料になりえます。

ちなみに私は原体験を一番重視して交換留学先を決めました。私の原体験についてはまたそのうち書きたいと思います。

今日はここまで。

Ciao:)