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タンザニアの平和の秘訣は、タンザニア人アイデンティティとスワヒリ語。
タンザニアは「現地の人にとっては」平和な国で、独立後も一度も内戦を経験していませんし、隣国のケニアのように選挙で治安が著しく悪化したり国内避難民が発生したりすることもありません。これはどうやら、初代大統領が「スワヒリ語」を共通言語として「タンザニア人」アイデンティティを築いたことが非常に大きいようです。
アフリカは広くて50か国以上もあるので、まず国によって状況や課題が全然違います(この点アフリカ大陸は、国数も少なく国は違ってもほぼ似たような状況や課題を抱えている南米大陸とは違っています)。さらにアフリカ大陸では、各国内でも数十〜数百の部族が群雄割拠しているケースも多く、国民国家という単位ではなく部族という単位の方で動いている地域も多いです。
例えば隣国のケニアでは、知識人層は英語(もしくはスワヒリ語)でコミュニケーションが取れるものの、そうでない一般の多くの人は各部族の言葉のみで生きていたり、そして部族ごとに優遇・不遇の差があったりして、ケニア人という意識がなく(あるいはそれよりも)OO族としてのアイデンティティが前面に出る結果、選挙の度に緊張状態になりやすいようです。
一方のタンザニアは、初等教育(日本で言うところの小学校6年)までは学校教育が必ずスワヒリ語で行われ、部族や出身地が違っても、小学校に行ったことがあればみんなスワヒリ語で意思疎通できます。そして特定の部族や地域が権力を牛耳ることなくここまで来たので、出身地のアイデンティティがあったとしてもタンザニア人としてのアイデンティティもある、というのが、タンザニアなんですって(例:「ムワンザ出身のタンザニア人」)。この点、日本と似ている気がします(例:「大阪出身の日本人」「博多っ子の日本人」)。
とはいえ外国人は目立つので危険。特に、タンザニアでタクシー乗車は文字通り「自殺行為」なので絶対に禁止。
そんなわけで、貧富の差などはありつつも、タンザニアの治安は「現地の人にとっては」平和で安定しています。しかし外国人にとっては、やはり危険が伴います。
特に、聞いたことがある人もいるかもしれませんが、タンザニアではタクシーは本当に危険すぎるので、絶対に乗ってはいけない乗り物です。外国人がタクシーに乗ったら、拉致られて死ぬほどボコボコにされて(ひどい時は文字通り命を落とすことも)、ありとあらゆる所持品を強奪される上に金銭は預金全額+キャッシングの上限までやられたりするようです。
ここまでの状況だと、以前はむしろ、日中なら場所によっては歩いたりバスを使う方がまだマシだったようですが(実際に、移動に際して、ケニアのナイロビは町が危険すぎるから絶対にタクシーを使わなければならず、逆にタンザニアのダルエスサラームはタクシーが危険すぎるから絶対に利用してはいけない、という通説があります)、ここ最近は「彗星の如く登場したUber」が比較的安全で信頼できます(2019年1月現在。利用の際は必ず最新情報を収集して判断してください)。
そんなタンザニアに彗星の如く登場したUberが、2019年1月現在はかなり信頼できる安全性。
というわけで私や私の知っている駐在員さんたちもタンザニアで日常的に利用しているUberですが(もっとも、駐在員さんは普段はお抱えドライバーさんにお世話になっているケースが大半ですが)、なぜタンザニアのUberは今のところ安全で使い勝手が良いのか、考えてみました。
まず、Uberアプリには身元確認システム及びレーティング(評価)システムがあります。これは全世界共通ですが、Uberでは「ドライバーが乗客を評価し、乗客もドライバーを評価する」(食べログやAirBnBのような感じで、星5つが満点、コメントも付加可)ので、お互いに「良い人である」ことがお互いのインセンティブになります。
つまり、評判の悪いドライバーはビジネスができなくなるし、悪いことをすれば足もつきます(身分証明等すべてフェイクで通している確信犯がいないとも限りませんが、Uberは現地の人も所得が多めの人は利用している交通手段ですし、上記の通りタンザニアは、少なくとも現地の人にとっては治安がしっかりしているので、少なくとも今のところUberで悪事を働くことは合理性に欠けるのだと思います)。
もうひとつ、Uberが行政当局やタクシー業界と上手くやっていることも重要です(カッコ内2019年6月追記:日本のように法規制を使ってUberを締め出す国もありますが、例えば直近のトルコのように、タクシー業界がUberの参入を恨みまくっていて、タクシー運転手が道でいちゃもんをつけてきたり攻撃してくる危険があるケースもあります。そんなトルコでは今のところBiTaksiというタクシー配車アプリが重宝されています)。
タンザニアではUberは、特に敵対視されているわけではないということもあり、今のところ平和に運営しているようです。そして料金も特段高いわけではなく、むしろタクシーと比べると安いこともあるようです。
タンザニアのUberはアメリカのそれとは少し勝手が違う:安全でスムーズな利用のために確実に押さえておくべき注意事項3つ。
しかしタンザニアでUberを使う時は、アメリカとは多少勝手が違います。以下、いくつか注意事項を列挙します。
- 三輪車タクシーPoaは超危険なので、Uberアプリで呼べてしまいますが呼んではいけません。三輪車タクシーが危険な理由は、閉められる窓やドアがないので、信号待ち中や走行中に横から襲撃される可能性が高いからです。絶対に乗用車のUberを呼んでください。そして自分一人(もしくは自分のグループ)で1台まるごと呼んでください(シェアライドもしない)。
- マッチした後に必ず「ドライバーに電話をかけて、待ち合わせ場所を口頭で(もしくはアプリ内のメッセージで)伝える」必要があります。なぜならほとんどのドライバーは、(Uberアプリを使っているにも関わらず)地図が読めないからです。どこどこビルの前、とか、どこどこショッピングセンターの駐車場のKFCの前、とか、そんな風に連絡を取る必要があります。
- 支払いは現金を好むドライバーが結構います。中には、「クレカ払いなら乗車拒否」をしてくるドライバーも一定数います。これは、Uberのシステムを使ったクレカ払いの場合、ドライバーが収入を得るまでに1週間程度のタイムラグがあるらしく、それを嫌うドライバーが一定数いることが理由です。「今日この後ガソリンを入れないともうガス欠なのに、1週間も待てないよ」みたいな感じです。正解不正解というよりは文化の違いなのでしょうがないです(もちろん、西洋文化に対応できていて、クレカでももちろんオッケーだよ、と言ってくれるドライバーもちゃんと一定数いますが、マッチしてみないとわかりません)。
マッチして来てくれたけど、クレカ払い現金払いや行き先など条件で合意できない/交渉がすぐにまとまらない場合は、相手(ドライバー)に気を遣う必要は一切ないのでそのUberは利用せず、安全のためにマッチングをやりなおすべきです。
向こうが「クレカ払いの客は嫌だ、現金にしてくれ」と言ってきた時、それでもこちらがクレカ払いの方が良ければ「クレカ払いできないなら乗車しません、すみませんが他を当たります」というのは全然問題なしなのです。私も、状況次第では現金でOKとしていましたが、基本的にはクレカ払いで納得してくれるUberに乗ることにしていました。
要するに、とにかく安全第一で、多少の時間のロス(や、場合によってはキャンセル手続き関連によるお金のロス=と言っても数十円とか、どんなに多くても数百円の世界)は、やむなしと考えてください。下手な正義感は危険です(自分から見て相手が間違っていても、相手から見たら相手が正しいので)。べき論も損得も置いといて、とにかく安全第一でいきましょう。
とここまで書きましたが、私の滞在中は概ねスムーズにUber利用できて、大変便利でした。アメリカと勝手は違っても、タンザニアのシステムに慣れてしまえばそんなに面倒でもなかったです。
国や地域によってはUberは非常に危険な場合もあるので、利用前に国や地域別の最新情報を必ず収集してください。
最後に海外でのUber利用そのものについてです。インドにおける悲劇的な過去事例もあるように、Uberは国によっては、あるいは状況や性別によっては、非常に危険なことも多々ありますので、行き先の最新情報を必ず得た上で利用してください。特に女性は、どこに行くにしてもよっぽど気をつけて情報収集をすべきです。タクシーも同じで、信頼できる国とできない国があったり、認定タクシーは大丈夫だけど白タクは死ぬほど危険という国があったり、襲っては来ないけどお釣りで偽札をつかまされる国があったり、いろいろなので、事前のリサーチと準備を怠らないでください。
というわけで、事前の情報収集および言語がある程度以上できることはmustで、その上で、治安状況次第では、現地にて確実に信頼のおける現地の人たちと一緒に行動してほしいと思います。
See you soon:)